やさしいフラッシュバック（ボス→フォ→子リキ）

古い記事が出てきたので勿体ない病で復帰させます

フランクが組織を抜けて、
全部捨てて、私を置いて、
リキッドを連れて、遠くへ行くと言う

濁り気味な灰色の瞳
私の後ろを守り続けた少年が
右側の死角を補っていた青年が
いつの間にか誰よりも頼りにしていた部下が
いなくなってしまうなどと思ったことはなかったのにだ

「何処に行くんだ」
「…何処へでも」

フランクは壁に貼られた世界地図を眺める
さっきから私を見ないのは何故

「リキッドを、広い土地へ」


リキッド、
さっきから、それしか言わない
どうしてだフランク、フランク


「私は置いて行くのか」

リキッドを連れて、
フランクもいなくなる




　　

　白髪の後ろ姿
　
　色のない

　フラッシュバックだ




「ビッグボス」


無意識に手に力が込もる
フランクのしろいくびが赤くなっていく
彼は大人しく壁に押し付けられたまま抵抗を見せない

俺を見ない





友人達の後ろ姿が浮かんで消える
顔は思い出せない、声が遠くに聞こえる
虚しさに駆り立てられ、片手を両手に変えながら一層強く絞める
彼は小さく乾いた咳をしながら、たった一度だけ身じろぎした
手を離せばフランクの体はずるずると座り込み、クッションのように、こてん、と倒れた


「そうだ、そこでいい」

そこに居てくれれば
俺はもう
誰も失わない







フランクが最期に俺を見たのはいつだったのだろうか